大昔の話だが、かなり変わったドッペルゲンガーを体験した。 

ウドー音楽事務所主宰の某バンドの初来日公演のチケットを取るのに、連れと徹夜していた。 
朝になり、チケット発売が始まったので、連れは並んでいる列の前に前にと一人どんどん進んでいった。 
俺は気分が悪かったので、
連れが2枚チケットを取って来てくれると言うので、整理券をそいつに渡しボンヤリと並んでいた。と言うか動きもしなかった。
問題はそこからで、俺の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
なんと、前に進んでいったはずの連れが女と一緒に俺の後ろに並んでいたんだ。 
その距離1メートルも無い。服装、髪型、声、靴、顔、身長、まったく同じだった。 
唖然として俺はそいつに文句を言った。チケットを取りに行ったハズなのにナンパしてるとは。 
そいつはこっちを見つめて、何のことか分からないと言い出した。女は茫然としていた。
こっちはこっちで、なにとぼけてんだよと。
で、そいつにチケットは取れたのかと聞いた。 
そいつと対峙していた時、後ろからまた声が聞こえてきた。 
振り返ると、連れがチケットを握ぎりしめてこっちに走ってくる姿だった。 
そいつの女もそれに気づいて悲鳴をあげてた。
周りも気づき皆呆然。連れとそいつは対峙した。
至近距離で二人見比べても見分けがつかなかった。持ち物まで一緒だった。
二人とも押し黙ったままだったが、不気味なことに仕草まで同じだった。 
同時に煙草をとりだしZippoで火をつけるのもほぼ同時(タバコもライターも同じ柄)、周囲の人間は皆唖然としていた。 
チケットを持ってたほうがその場から離れようと動き出したので、俺はそいつを連れと断定して付いていった。 
その場から離れてようやく連れは口を開いた。
が、本人もショックがでかかったらしく、小刻みに震えていたのを覚えている。 
その時、連れが言った言葉で覚えているのは、
手に怪我をして貼っていたバンドエイドの位置まで同じだったらしい。怪我の場所は手の平・・ 

その後、今に至るまでそいつは元気に暮らしている。 
思い起こすに、二人が対峙した時は双方何も言葉を交わしていなかったです。 
もちろん二人は双子でもありません。 
解かりにくい文章になったが、こんな奇妙な体験でした。