863 本当にあった怖い名無し New! 2007/05/06(日) 21:28:09 ID:m5U6Lq/A0
死ぬほど洒落にならないかどうかはわからないんですが…。 

この間、同じ職場のEさんという人が退職していったんです。 
彼女は30代後半。色白で華奢でとても綺麗な人でした。 

彼女は私と仕事をしている間に一回離婚して、そしてその数ヶ月後に違う男性と再婚をしました。 
(なので一回名字が変わった) 
私はすごく親しくしていた訳じゃないんですが、彼女が退職する時、昼休みにちょっと呼び止めて。 
「そういえば、どうして突然退職することにしたの?再婚した旦那さんが転勤とか?」 
「ううん、旦那は転勤はないの。自営業だから…」 
「あ、もしかして赤ちゃん?おめでた!?」 
そうだったら、すぐにお祝いを言おうと明るく言ったのですが。 

すると彼女の顔が途端に曇りました。 
彼女は前の旦那さんと結婚していた5年間、赤ちゃんが出来なかったようで、もしかして離婚の原因も不妊が原因?と余計な勘ぐりをしていたので「あ…言ったらまずかったのだろうか…」と自分の浅はかな発言に後悔したのですが…。 
「ううん…違うの。でもさ…よかったら聞いてくれる?」 
返事をする前にやんわりと手をひかれて、人の全くこない階段の下まで連れていかれてしまいました。 

「今から言うこと誰にも黙ってて。親にも友達にも相談出来なかったの」 

以下、彼女が私の返事や相づちも聞かず、俯いたまま独白した話です。 
864 本当にあった怖い名無し New! 2007/05/06(日) 21:35:09 ID:m5U6Lq/A0
「前の旦那と結婚して…5年…。実は私2回妊娠したことがあったんだよ…。 
でもね、2回とも産めなかったの。流産とかじゃなく、経済的な問題じゃなく 
“産めなかった“の。 
妊娠している時に夢を見たの。もーすっごくリアルな夢。 
それは誰かの視点なの。私は夢の中で暗い道を歩いているの。 
そうすると前方に女性が歩いているのが見えて、私はそれにむかって突進していくの。 
ドン!と音がしそうなすごい衝撃が起きて、気づくと女性が倒れているの。 
自分の手が震えているのがわかって、見ると、血まみれの包丁が…。 

それから、場面が変わって私は誰かの寝室に入っていくの。 
ベッドの上には誰かが寝ていて、私は布団の上からその人のお腹を撫でるの。 
女性はお腹が大きくて…妊娠しているんだというのがわかった。 
どこかで…どこかで見たことがある。 
寝ている人を見たことがある…と思ったら、それは私。 
私が寝ているの。 
夢の中の私は私のお腹の中にぐっと手を入れて…」 

「え…?」 

867 本当にあった怖い名無し New! 2007/05/06(日) 21:44:43 ID:m5U6Lq/A0
そんなことを明るい昼間の、しかも会社の昼休みに突然言われて、呆気にとられたのですが、彼女はかわまず続けました。 

「そのままぐーっと中に入っていったの。中は暖かくて、暗くて、そしてすごく安心する気持ちがいい場所だった。 
私はそのまま、夢の中で眠りに落ちたの。誰かに守られているんだ、という気持ちで安らぎながら…」 

もうびっくりして言葉もありません。 
彼女は私を見もせずに続けました。 
「そんな夢を最初の妊娠の時に何度も何度も見たのね。でも場面はいつもいつも違うの。 
誰かを刺し殺す夢もあれば、開いている2階の窓から侵入して、寝ている女性の首をしめて殺したこともあったし、 
小さな子を連れ回して、あげく川に突き落として殺したこともあった。 
でも、必ず最後は寝ている自分の所へ帰るの。自分の中へ…お腹へ入っていくの。そこで終わるの。 
だから…最初の子は…旦那に黙って…おろしたの」 

「で、でも…初めての妊娠でブルーになってたり、ノイローゼ気味だったり…」 
「そうかもしれない。実は妊娠中の人達が集まるフォーラムに顔を出したり、ネットでそういう事例がないか検索したりもしたし、色々したんだけど、 
あんまりにも、あの夢の自分がリアルで…。 
肉を切り裂く血の匂いとか…首をしめた時の手の感触とか…突き落とした子供の髪の毛とか…気持ち悪くて」 

「もしかして、それ、2回目の妊娠の時も見たの?同じ夢」 

「2回目は…もっともっとひどかった」 

869 本当にあった怖い名無し New! 2007/05/06(日) 21:57:36 ID:m5U6Lq/A0
「まさか2回目も?」 

彼女は黙ってうなずきました。 

もーなんて言ってあげたらいいのかわかりませんでした、私独身で子供もいないし。 
妊娠中ってそういうことあるんじゃないのかな?とか考えすぎだよ、とか。 
そんな深刻になることないじゃない?とか。大丈夫だよ~と、明るく笑ってみたり。 
でも、彼女は暗い顔のまま俯いているだけです。 

「だから…別れたの。私と前の旦那の子…でなければ…もしかして、と思って…」 
「…そ、そんな…」 

そこで昼休み終了のチャイム(うちはチャイムが鳴る会社なんです)が鳴ったので、彼女は“つとめて明るく“風に(ぎこちないけど) 
笑顔をつくって 
「もう大丈夫だと思うんだけどね、相手が違えばきっと、と思うんだけどね。ねぇ?」 
そうそう、大丈夫だよ、とか。 
気にすることないよ、とか。 
そんなような言葉しか口に出来なかったような気がします。 
次に妊娠する時はもうそんなことないと思うよ。とかなんとか。 

そして彼女は退職していきました。 
それが1月の下旬の話。 
870 本当にあった怖い名無し New! 2007/05/06(日) 21:58:19 ID:m5U6Lq/A0
そして、昨日5月5日、GWの最終日前、彼女に偶然街でばったり逢ったんです。 
久々に逢う彼女は、なんだかますます色が白く、華奢になった気がしました。 

「久しぶり~!元気?もーうちなんてEさんがいないから忙しくてさぁ~!」 
あの時の彼女の独白なぞすっかり忘れて、私は会社の近況を話そうとした時。 

「Kさん…やっぱりダメかも…また見たよ。今度はもっともっとひどかった…。 
じゃあ、元気で。さようなら…」 

汗ばむほど天気のいい日でしたが、 
冷水を頭から浴びせられたようにぞーっとしました。 

怖くなくて本当、すみません。