324 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2006/08/05(土) 18:56:45 ID:3vqSk3Dz
産まれたばかりの弟がベビーベッドで寝ていた。
窓から見える庭には雪が積もっていて、とてもきれいだった。
私もいつのまにかソファで寝てしまったんだけど、突然目が覚めて何か嫌なものを感じた。
寝転んだまま頭の上にある窓を見上げると、白い着物のバサバサ髪の女が両手を窓につけて
私達を見下ろしていた。耳まで裂けた真っ赤な口がにやにや笑っている。
声を出すと殺される、と何故かそう感じた。弟を守らねばならない。
両手をかざして眠ったままの弟の顔を隠した。
そこで記憶が途切れている。

私はこれを夢だと思っていた。とても恐い夢だったから大人になっても忘れられないんだ、と。
この間、祖母の家に遊びにいった時に近所を散歩した。
少し遠い所まで来た頃、森のように広い庭のある朽ちたお屋敷を見た。
家に帰ってからも気になっていたので(昔のお金持ちの豪快な話が好き)
どんな人が住んでいたのか祖母に聞くと、まだ人が住んでいるとのこと。
没落した人に興味が湧いて話をせがんだら、自分の知っている人は奥さんだけで
気がふれて自殺したと教えてくれた。
頭の良い人だったけどおかしくなってからは裸足に長襦袢、口紅を耳までひいた格好で
村中を徘徊してたそうだ。
いつごろ亡くなったのかは聞かなかったけど、もしかしたら私が見たのは夢ではなく
その人だったのかもしれない。